聞くは一時、聞かぬは一生。

2018-02-27

ようやく少しずつですが、春の息吹が感じられそうな予感がしてきました。今年の冬は寒かったですね〜。段々暑さ寒さが直で応える年齢になってきたので、この頃の寒さの和らぎに心底ホッとしておりますが、油断は大敵です。まだまだ寒暖の激しい日々が続きますので、皆さんもどうぞご自愛下さい。

さて、暖かさを喜んでいられる人ばかりではありません。いよいよこれから、本格的な受験シーズンの始まりです。我が家の子供達にはまだ先の話ですが、道場には沢山の受験生がいますので、他人事ではありません。受験の結果で人生が決まる訳ではありませんが、積み重ねた努力を望む形に繋げる能力はこの先、必ず必要になります。その第一歩という意味も含め、受験生の子達には精一杯頑張って欲しいものです。

ところで、受験といえば数年後から大学入試の概要が大きく変わるようですね。何でも、今まで以上に思考力や判断力が問われるとの模様です。…と言うは易しですが、当事者の受験生や学校・塾の先生方は対応に追われることでしょう。いや、むしろそういった付け焼き刃的な対策を通用させなくすることで、幼少期からの積み重ねを必要とする揺るぎない学力の養成を促していくのかもしれませんね。

賛否両論はあるでしょうが、いい事だと私は思います。
「近頃の若い子は自分で考える事が出来ない」などと言われて久しく経ちます。もちろん、そうでない子も沢山いますが、全体的な傾向としては私もそう感じています。しかし、それは子供達の責任ではありません。

「考えられない子」というのは、「考えさせられない大人」が作りあげてしまうものだと思います。
「考えさせる」為には「待ってあげる事」が必要です。でも、これが難しいんですよね。子供が分からずにいると、つい手助けをしてあげたくなります。「不憫だから」「遅れるといけないから」「イライラするから」、理由は様々ですが、いずれにせよ過剰な干渉は子供の考える機会を奪ってしまいます。
確かに、手を貸してあげれば上手にはなります。でもそれは「覚えて」上達しているだけであり、「考えて」上達している訳ではないのです。
もちろん、覚えて上手になるのも立派な事です。それすら出来ない子も多くいるわけですから。しかし、「覚える」行為は言ってみれば受け身の学び方です。初めはそれでも良いですが、そこで終わらせてしまうと「考える」という攻めの学びまでは発展していきません。

かの孔子も次のように述べられています。「四隅のうち一隅を教えたら、残りの三隅まで推測して考えられない者には教える価値はない」と。つまり、覚えた事をどのように膨らませられるかが肝心だということです。

そのような「覚えた事柄を使って考える」まで進める為には、まずはそのように促してあげることが必要です。その後は子供が自ら答えを出すまで「待ってあげる」こと。そして、これが大切なのですが、出した答えは尊重してあげることです。例えそれが、とんちんかんな答えだったとしても、まずは自分で考えた行為を褒めてあげ、発想の柔軟さを感心してあげること。
そうしてあげれば、子供は喜んで「考える」ようになります。上手く乗せていけば、こちらが答えを教えようとしても、それを制してまで自分で考えたがるものです。

また、「考えられない子」はすぐに答えを聞きたがります。
反対に「考えられる子」は聞きたがりません。自分で答えを導く快感を知っているからです。そして、自分で考えたいのなら材料が必要となります。「知識」という名の材料が。その為に、自分で調べたりするし、何より他人の話を聞くようになります。

私の経験上、すぐ「答えを聞きたがる子」は話を聞かないことが多いです。そして、「答えを聞きたがらない子」は間違いなく話をよく聞きます。
答えを聞いてしまえばすぐに覚えられますが、それが知識として定着するかは疑問です。逆に時間がかかっても、簡単に尋ねずに自分で導いた答えは容易に忘れることはありません。仮にその答えが違っていたとしても、それはそれで正解を聞いた時には、なるほど!と記憶に刻まれることでしょう。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という有名な諺がありますが、こと答えを導く上では「聞くは一時の知識、聞かぬは一生の知識」とでも言えましょうか。

その為にも待ってあげましょう。子供を信じて待ってあげられれば、必ず応えてくれる筈です。
私が拙いながら20年近く指導に携わり最も成長できたと自負できる点が、この「待てるようになった」ことだと思っています。そして文字通り「待ちに待った」子供達の成長を感じられた時の喜びは代え難いものがあります。
この事は「放任」ではありません、ありきたりな言い方ですが、「見守る」ということです。始めに方向性を示してあげて、後は最低限のアドバイスを送りつつ、見守ってあげましょう。

さぁ受験生の皆さん、いよいよラストスパートです。体調を崩さないように気をつけながら、悔いの残らないよう試験までの日々を過ごして下さい。
吉報と共に、君達の晴れやかな笑顔を心待ちにしています。